製品Q&A 充填材/裏層材
バルクベース
バルクベースQ&A
LPSモノマーとはどのようなモノマーですか?
Low Polymerization Shrinkageの頭文字をとって名付けられた三井化学(株)により開発された低重合収縮モノマーです。
バルクベースの重合収縮率はどの程度ですか?
バルクベースの重合収縮率は2.6%~2.8%です。
バルクベースはフロータイプのコンポジットレジンにも拘わらず、フィラー添加量の多いペーストタイプと比較しても小さい値を示します。
バルクベース (ハイフロー) |
バルクベース (ミディアムフロー) |
|
---|---|---|
重合収縮率(%) | 2.8% | 2.6% |
当社従来品A (ペーストタイプ) |
当社従来品B (フロータイプ) |
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---|---|---|
重合収縮率(%) | 3.0% | 4.3% |
重合収縮率は乾式密度計を使用し、ペーストの硬化前後の体積から算出しています。
自社データ
ハイフローとミディアムフローはどのように使い分ければよいですか?
ハイフローはⅠ級窩洞に、ミディアムフローはⅡ級窩洞に適しています。
バルクベースはどんな色調ですか?
すりガラスの様な乳白色です。
オペーク効果はありますか?
ほとんどありません。
通常のコンポジットレジンと同程度の遮蔽性です。
窩底の色調が最表層に出てしまう場合、どのように充填すればよいですか?
窩洞の色調が濃い場合はオペーシャスボディ色との併用(例えばファンタジスタOA2、OA3など)をお奨めします。
最表層まですべてバルクベースで充填できますか?
使用できません。
最表層は、通常のコンポジットレジンをご使用ください。
X線造影性はありますか?
あります。
対アルミニウムで約240%です。


光照射時間の目安は?
光照射は下記の条件を目安に照射してください。
機種※ | 光量 | 照射時間 | 硬化深度 |
---|---|---|---|
従来型ハロゲン | 400mW/cm2以上 | 20秒 | 4.2mm |
高出力ハロゲン | 1000mW/cm2以上 | 20秒 | 4.5mm |
プラズマアーク | 1840mW/cm2以上 | 6秒 | 4.2mm |
LED | 1000mW/cm2以上 | 20秒 | 4.5mm |
- ※
- 従来型ハロゲン:例えばJETライト3000((株)モリタ)
高出力ハロゲン:例えばオプチラックス501(カボデンタルシステムズジャパン(株))
プラズマアーク:例えばフリッポ((株)ジーシー)
LED:例えばペンキュアー2000((株)モリタ製作所)
JIS T 6514:2013に準拠して実施
自社データ
バルクベースの容器は大型ですが、従来の容器よりどの程度大きいですか?
当社の従来容器(メタフィル Flo)の1.5mLと比べ、1.6倍以上の2.5mLです。
大型の容器にすることで、コストパフォーマンスを高めています。
付属の19Gニードル以外の細いニードルを使用できますか?
使用できません。
バルクベースのペーストがストレスなく押し出せる最も細いニードルが19Gです。

ペーストが残り少なくなった場合の目安はありますか?
容器の押し棒に目印があり、その部分までペーストを押し出せます。

バルクベースには接着性がありますか?
接着性はありません。
バルクベース ライナー
なぜライナースポンジを使用するのですか?
当社独自の親水性重合開始剤が含まれており、水分が存在する歯質表面からも確実に重合させることができます。それにより、良質な樹脂含浸層を形成します。
光照射時間の目安は?
光照射は下記の条件を目安に照射してください。
機種※ | 光量 | 照射時間 |
---|---|---|
従来型ハロゲン | 400mW/cm2以上 | 5秒 |
高出力ハロゲン | 1000mW/cm2以上 | 5秒 |
プラズマアーク | 1840mW/cm2以上 | 3秒 |
LED | 1000mW/cm2以上 | 5秒 |
- ※
- 従来型ハロゲン:例えばJETライト3000((株)モリタ)
高出力ハロゲン:例えばオプチラックス501(カボデンタルシステムズジャパン(株))
プラズマアーク:例えばフリッポ((株)ジーシー)
LED:例えばペンキュアー2000((株)モリタ製作所)
JIS T 6514:2013に準拠して実施
自社データ
バルクベース ライナー塗布面の厚さはどれくらいですか?
約3μm(樹脂含浸層は、約1μm)です。
う蝕影響象牙質※にも健全象牙質と同じように接着しますか?
接着します。
当社独自の重合開始剤の効果により、う蝕影響象牙質にも健全象牙質と同じように接着します。当社で調べた微小引張り接着強さ(μTBS)は下表のとおりです。
- ※
- カリエスディテクター( クラレノリタケデンタル(株)) で淡ピンク~ピンクに染まる部位
μTBS(MPa) | |
---|---|
健全象牙質 | 39 ± 7 |
う蝕影響象牙質 | 39 ± 10 |
微小引張接着強さ(37℃水中24時間浸漬後)
自社データ
ボンドフィルSB
ボンドフィルSBの特性について
スーパーボンドとはどのように違うのですか?
充填材として特化させるため、液材と粉材を専用のものにしています。また粉材には耐摩耗性と研磨性を向上させるため、反応性有機質複合フィラー(TMPTフィラー)を配合しています。
液材 | 4-META、MMA、多官能メタクリレート、その他 |
---|---|
粉材 | PMMA、TMPTフィラー、その他 |
キャタリストV | トリ-n-ブチルホウ素部分酸化物、その他 |
ボンドフィルSBとスーパーボンドは互換性がありますか?
互換性はありません。
ボンドフィルSBは、専用の液材と粉材を組み合わせることで最適な性能が得られるよう設計されています。
歯質に対する前処理について
充填の際、ボンディング処理は必要ですか?
必要ありません。
歯面清掃後、エナメル質・象牙質兼用のティースプライマーを歯質に塗布・乾燥するだけで前処理が完了します。
エナメル質に対してもティースプライマーでの前処理だけで接着できますか?
接着できます。
ティースプライマーのみでエナメル質に対する優れた接着性を発揮します。ティースプライマーのpH値は3程度と比較的マイルドな脱灰力にも関わらず、エナメル質に対する優れた接着力を発揮します。
ティースプライマーの処理時間は何秒ですか?
エナメル質・象牙質共に約20秒です。
エア-ブローの強弱はティースプライマーの接着性能に影響がありますか?
影響しません。
テクニカルエラーが生じにくいのもティースプライマーの特長です。
ボンドフィルSBの前処理に表面処理材 高粘度レッドや表面処理材 高粘度グリーン等は使用できますか?
使用できます。
ご使用の際には、必ず製品添付の「添付文書」をお読みの上、正しくお使いください。
歯質以外に対する前処理について
金属や陶材などに対して前処理は必要ですか?
各被着面に応じた前処理が必要です。
被着面を研磨するなどして新鮮な面を出した後、下記に従って前処理をしてください。
歯質が混在している場合には、各種プライマーを使用する前に、歯質にティースプライマー処理を行ってください。
被着面 | 表面処理 |
---|---|
非貴金属・銀合金 | 不要 |
貴金属 | 歯科金属用接着材料(V-プライマーなど) |
セラミックス (陶材・ジルコニア) |
歯科セラミックス用接着材料 (スーパーボンド PZプライマーなど) |
コンポジットレジン・ハイブリッドセラミックス・硬質レジンなど | 歯科セラミックス用接着材料 (スーパーボンド PZプライマーなど) |
アクリル系レジン | 不要 |
粉材について
ボンドフィルSBの粉材は何種類ありますか?
また、それぞれどのような色調ですか?
ライト、ミディアム、サービカル、オペーシャスの4種類です。色調は下図を参照してください。

液材の準備について
キャタリストV1滴に対して、液材は何滴用意すればよいですか?
症例にあわせて2~3滴ご用意ください。
ボンドフィルSBの活性化液(液材とキャタリストVの混合液)は、どの程度の時間使用できますか?
3分以内にご使用ください。
形態修正・研磨について
形態修正におすすめのバーはありますか?
歯科用カーバイドバー(12枚刃~30枚刃)か、ダイヤモンドポイント(超微粒子タイプ)をおすすめします。

その他
充填時にストリップスは使用できますか?
ボンドフィルSBと接着しない樹脂製ストリップス(ポリエステルやPET製など)は使用できます。
金属製のストリップスは、接着してしまうので使用できません。
硬化体が咬耗してきたら追加築盛はできますか?
追加築盛できます。
硬化体が残っている部位には、表面を一層研削した後、直接追加築盛できます。
硬化体が残っていない部位には、歯面清掃後、再度ティースプライマー処理を行ってからボンドフィルSBを充填してください。
混和法で使用できますか?
混和法では使用できません。
ボンドフィルSBは、筆積法に適した設計をしていますので、筆積法でご使用ください。
修復物の接着に使用できますか?
使用できます。
ボンドフィルSBの被膜厚さは約150μmですので、再装着などの保持形態が取りにくい修復物の接着に適しています。