製品Q&A 支台築造材料
ポストフリーコア
ポストフリーコアとは?
既製金属ポストを必要としない支台築造用レジンで、保険治療で歯根破折の防止を目指したコアシステムです。
高い硬化性と低重合収縮性を兼ね備えた光重合型支台築造用レジン『ポストフリーコア フロー』と薄膜ボンディング材『ポストフリーコア ボンド』で、歯質と一体化した 支台築造が期待できます。
2014年4月の歯科診療報酬改定により、支台築造「その他」の算定要件が変更になり、保険適用条件※を満たす場合、「支台築造レジンのみでの築造」が可能になりました。
- ※
- 保険適用条件:根管治療を実施した歯の歯冠部の近遠心及び唇頬舌側歯質のうち3面以上が残存しており、複合レジン(支台築造用)のみで築造ができる場合は、スクリューポスト(支台築造用)等を使用しなくても算定できる。
どのような症例に活用すればよいですか?
歯冠部の近遠心及び唇頬舌側歯質のうち3面以上が残存しており、歯冠部歯質が補綴装置のフィニッシュラインから厚さ1mm、高さ2mm以上ある症例にお使いください。
スクリューポスト(支台築造用)を使用した場合、注意する点はありますか?
ポストフリーコア フローは光重合タイプのレジンです。スクリューポストを使用した場合、その直下のレジンには光が当たりにくいのでご注意ください。
ポストフリーコア フロー
ポストフリーコア フローにはどんな色がありますか?また、それぞれの物性は?
硬化性を重視した「クリア」と色調を重視した「デンチン」をラインナップしています。物性は以下を参照してください。
曲げ強度 (MPa) |
弾性率 (GPa) |
重合収縮率 (%) |
硬化深度※ (mm) |
|
---|---|---|---|---|
クリア | 130 | 9.0 | 3 | 7 |
デンチン | 130 | 9.0 | 3 | 3.5 |
自社データ
- ※
- JISの規格により、硬化深度は実測値の1/2を記載
ポストフリーコア フローは化学重合もしますか?
化学重合しません。
光重合タイプにすることで、デュアルキュアタイプのようにミキシングチップにレジンが残る無駄がなく、コストパフォーマンスに優れます。
また、光照射するまで硬化しないので、操作時間に余裕があります。
光照射時間の目安は?
以下の表を参照してください。
機種※ | 光量 | 照射時間 |
---|---|---|
従来型ハロゲン | 400mW/cm2以上 | 20秒 |
高出力ハロゲン | 1000mW/cm2以上 | 20秒 |
プラズマアーク | 1840mW/cm2以上 | 6秒 |
LED | 1000mW/cm2以上 | 20秒 |
自社データ
- ※
- 従来型ハロゲン:例えばJETライト3000((株)モリタ)
高出力ハロゲン:例えばオプチラックス501(カボデンタルシステムズジャパン(株))
プラズマアーク:例えばフリッポ((株)ジーシー)
LED:例えばペンキュアー2000((株)モリタ製作所)
積層充填は必要ですか?
硬化深度を目安に、必要に応じて積層充填してください。色調によって硬化深度は異なるので、以下の表を参照してください。
硬化深度※ | |
---|---|
クリア | 7mm |
デンチン | 3.5mm |
自社データ
- ※
- JISの規格により、硬化深度は実測値の1/2を記載
他の製品(メタフィル Flo等)のニードルは使用できますか?
できません。
先端径が細いニードルを取り付けると、押し出せない場合がありますので、必ず専用の18Gニードルをご使用ください。
X線造影性はありますか?
あります。
対アルミニウムで約240%です。
ポストフリーコア ボンド
象牙質への接着強さは?
以下の表を参照してください。
ボンド中の光重合開始剤に加え、ボンドスポンジには接着促進成分を吸着させています。その働きで、完全乾燥が難しく水分が残存する歯質界面から重合硬化することで、良質な樹脂含浸層を形成します。
微小引張り接着強さ(37℃水中24時間浸漬後)
µTBS(MPa) | |
---|---|
象牙質 | 39±7 |
自社データ
ボンドスポンジは必ず使用しなければいけませんか?
必ずご使用ください。
他のスポンジやブラシを使用すると接着性能を発揮しません。
ボンドスポンジでは塗布できない部分にはどうすればよいですか?
付属のV型ダッペンでボンドとボンドスポンジを混合し、それを市販のマイクロブラシ等で採取して使用してください。
ポストフリーコア ボンドの被膜厚さはどれくらいですか?
約3µmです。
光照射時間の目安は?
以下の表を参照してください。
機種※ | 光量 | 照射時間 |
---|---|---|
従来型ハロゲン | 400mW/cm2以上 | 5秒 |
高出力ハロゲン | 1000mW/cm2以上 | 5秒 |
プラズマアーク | 1840mW/cm2以上 | 3秒 |
LED | 1000mW/cm2以上 | 5秒 |
自社データ
- ※
- 従来型ハロゲン:例えばJETライト3000((株)モリタ)
高出力ハロゲン:例えばオプチラックス501(カボデンタルシステムズジャパン(株))
プラズマアーク:例えばフリッポ((株)ジーシー)
LED:例えばペンキュアー2000((株)モリタ製作所)
i-TFCシステム
準備
専用の根管形成用ドリルはありますか?
市販の根管形成用ドリルをお使いください。
マニー(株)社製ピーソリーマでの目安は以下のとおりです。
0.9mmポスト→ピーソリーマ♯2
1.1mmポスト→ピーソリーマ♯3
1.3mmポスト→ピーソリーマ♯4
再根管治療時のガイド孔切削→ピーソリーマ♯1
ポストへの表面処理は必要ですか?
基本的には必要ありません。
i-TFCファイバーは、グラスファイバーを3次元的に編み込んでいるので、レジンとの馴染みがよく、表面処理をしなくてもポストレジンに対し高い接着性を示します。
ただし、i-TFCファイバーの濡れ性を向上させたい場合や切断・テーパー付与などの加工面には、ファイバーポストプライマーやスーパーボンド PZプライマーを使用するとより有効です。
ファイバーポストプライマーとは何ですか?
ファイバーポスト専用のプライマーで、i-TFCファイバーの濡れ性を向上させます。
ポストに加工をした部分だけでなく、i-TFCファイバーを複数本使用する場合にも有効です。
- ※
- ダッペンなどに取り出したファイバーポストプライマーは、速やかにご使用ください。
ポストを切断するには何を使用したらよいですか?
YDM社製のファイバーカッター をおすすめします。簡単に切断でき、切断面も綺麗です。その他にはダイヤモンドディスクなどを使用し、i-TFCファイバーを回転させながら切断してください。
ニッパーやハサミの使用は、切断面がバラつく原因になりますので避けてください。
ポスト先端にテーパーをつけるには?
ディスクタイプのカーボランダムポイント(HP#11)やCR研磨用のホイールディスクをおすすめします。 回転させたディスク上面にポストを押さえつけながら、指でゆっ くりと回転させて削ります。
どのような症例に適用可能ですか?
以下の条件を満たす症例に適用できます。
- 高径1mm 以上の健全歯質が全周にわたり残存し、フェルールの効果が得られる症例
- 実質欠損が歯肉縁下に及ばず、歯肉縁上に健全歯質が残存している症例
- 歯根が湾曲していない症例
補強用ファイバー
スリーブとアクセサリーファイバーの使い分けは?
特に指定はありません。以下を参考にご使用ください。
スリーブ:
根管が太い場合やテーパーが大きい根管への適用がおすすめです。
アクセサリーファイバー:
スリーブの適用が難しい扁平根管などの補強におすすめです。
どちらもポストとの併用により耐久性を向上させます。
根管壁の厚みやフェルールに不安が残る場合に補強効果が期待できます。
- ※
- スリーブやアクセサリーファイバーのみで支台築造はできません。
直接法で使用する場合
ポストやスリーブを試適して唾液などが付いた場合の清掃方法は?
エタノール綿球で拭い取るか、「表面処理材レッド」または「表面処理材 高粘度レッド」を塗布して水洗・乾燥してください。
直接法で使用する場合におすすめの接着材はありますか?
i-TFCボンドをおすすめします。
i-TFCシステム専用の一液性デュアルキュア型セルフエッチングボンドです。
i-TFCボンドの使用方法は?
プラスチックダッペンにボンドを1 ~ 3滴滴下し、ボンドブラシで約5秒間攪拌、混合します。
- ※
- ボンドブラシには重合開始剤が含まれているため攪拌開始から1分以内にご使用ください。
混合液を根管の被着面全体に塗布し、20秒間放置した後に5 ~ 10秒間エアーブローを行います。次に、根管にポストレジンを填入して光照射をします。尚、i-TFCボンドへの光照射は必要ありません。
専用のボンドブラシは必ず使用しなければならないですか?
必ずご使用ください。
他のスポンジやブラシを使用すると接着性能を発揮しません。
ボンドブラシにはどんな特長がありますか?
ボンドブラシには親水性重合開始剤が含まれています。
この働きにより、水分除去が難しく光が届きにくい根管内でも化学重合して良質な5 ~ 10μm の樹脂含浸層を形成します。
i-TFCボンドを使用した場合のボンド層の厚さは?
5 ~ 10μmです。
i-TFCボンドは何滴使用できますか?
1mLあたり20滴滴下できます。
ボンドは粘性液体で、残量が少なくなると滴下時に気泡を巻き込むことがあります。無理に押し出すと多くの気泡を巻き込み性能に影響を与える可能性がありますので、早い時点での交換をおすすめします。
i-TFCボンドの保管方法は?
冷蔵庫で保管してください。
どの程度の深さの根管までポストレジンを硬化させることができますか?
光ファイバーポストを使用した場合、歯科用光照射器での硬化深度は15mmです。照射時間は下表をご覧ください。
機種 | LED※ | キセノン | ハロゲン 低出力 |
ハロゲン 高出力 |
---|---|---|---|---|
照射時間(秒) | 30 | 6 | 40 | 30 |
硬化深度(mm) | 15 | 15 | 15 | 15 |
- ※
- 600mW/cm2 以上
間接法で使用する場合
模型に塗布する分離材におすすめの製品はありますか?
プライムセップをおすすめします。
模型硬化材の上からでも被膜が形成できます。
被膜が薄いので、マージン部以外は2 ~ 3 度重ね塗りし、十分に乾燥してください。
どの程度の深さの根管までポストレジンを硬化させることができますか?
光ファイバーポストを使用した場合、技工用光照射器での硬化深度は12mmです。光ファイバーポストを光軸方向に合わせてください。照射時間は下表をご覧ください。
機種 | キセノン | ハロゲン |
---|---|---|
照射時間(秒) | 180 | 180 |
硬化深度(mm) | 12 | 12 |
間接法で使用する場合におすすめの接着材はありますか?
スーパーボンドをおすすめします。
特に混和法専用のポリマー粉末は、混和法での操作時間が長く25℃以下の室温であれば冷却せずに使用できます。
また、スーパーボンド マイクロシリンジを併用していただくことで、混和泥を容易に移送できます。
間接法で作製したポストコアが抜きにくいのですが、何かポイントはありますか?
アンダーカットがあると模型から抜けなくなりますので、アンダーカットは確実に修正してください。また、プライムセップをしっかり塗布・乾燥することもポイントです。
その他
ポストレジン築盛の際のポイントは?
ポスト及びスリーブ全体にポストレジンを築盛してください。ただし、光ファイバーポストの場合、ポストの頭頂部は照射光が届きやすいようにポストレジンを築盛せず、露出させるようにしてください。
コアレジンフローとコアレジンの使い分けは?
特に指定はありません。以下を参考にご使用ください。
コアレジンフロー:
ローフロータイプのフロアブルレジンで、垂れにくく思い通りの付形が可能です。
特に直接法での使用に便利です。
コアレジン:
ペーストタイプでヘラ離れが良く、付形した形状をしっかり保持できます。
コアレジンフローだけで作製してもよいですか?
ポスト部には必ずポストレジンをご使用ください。
ポスト部とコア部にはそれぞれ要求される物性が異なるため、使い分けが必要です。
i-TFCシステムには2種のニードルチップがありますが、使い分けは必要ですか?
必要です。
コアレジンフローに20G ニードルスーパーロングを使用すると、レジンを押し出せない場合がありますのでご注意ください。
再根管治療が必要になったときには?
下記イラストを参照してください。
光ファイバーポスト
ポスト(ワイヤー入り)
収納ケースとはどのようなものですか?
iーTFCシステム セットの構成品に加えて、関連製品などまとめて収納できる専用のケースです。
必要な時に必要な場所へ一式で持ち運べるので便利です。
セット構成品
- ポストレジン
- コアレジンフロー
- 光ファイバーポスト 0.9mmΦ
- 光ファイバーポスト 1.1mmΦ
- 光ファイバーポスト 1.3mmΦ
- アクセサリーファイバー 0.5mmΦ
- スリーブ 2.0mm
関連製品など(別売)
- ファイバーポストプライマー
- プライムセップ
- ファイバーカッター(YDM社製)